Ubuntu DesktopでCorsairのiCUE Link対応RXファンを制御する方法

はじめに

自作PCのを組み立てた際、PCケース付属のファンに加えて、CorsairのRX120mmファンを増設のファンとして採用しました。 価格は高めですが、静音性と冷却性能のバランスと、iCUE Linkにも対応し何よりケーブルがスッキリまとめられる点に魅力を感じました。
しかし、OSにUbuntuを採用したため、公式ソフトウェアであるCorsair iCUEはUbuntu非対応ということで、回転数もライティングも制御できず困っていたのですが、最終的に両方制御できるようになりましたので、方法をメモとして残します。

ちなみに、OpenRGBを使うと通常のARGBファンであればUbuntuでもライティング制御ができますが、RXファンは非対応な模様です。

しばらく困っていたのですが、Corsairのフォーラムに以下の投稿を見つけました。

https://forum.corsair.com/forums/topic/189584-icue-link-system-hub-on-linux/

Last 3 weeks I have been actively working on Linux support for Corsair Link System Hub. The product is currently in the beta phase. Service is daemon-based, it starts and stops with your computer. Once you configure it, it's set and forget.

What is supported:

  • LINK Fans (QX, RX)
  • LINK AIOs (H150i, H115i, H170i, H100i, H100i)
  • LINK Pump/Res Combo (unable to test until I get one of those, soon I hope...)
  • Basic RGB (8-9 modes)

The project is open source and the repository can be found on GitHub.
https://github.com/jurkovic-nikola/OpenLinkHub

OpenLinkHubというOSSのツールが最近公開され、それを使うとiCUE Linkパーツのライティング制御ができるようです。 サポートリストを見るとRXファンに対応していそう!その他QXファンはもちろん、水冷CPUクーラーもいけるようです。
試してみたところ、回転数・ライティングのどちらもうまく制御できましたので紹介します。

ソースコードを見るとGoで書かれているようです。

PC の構成

CPU Ryzen 7 9700X
マザーボード GIGABYTE B650 AORUS ELITE AX ICE
グラボ GIGABYTE RTX 4070Ti Super WINDFORCE
メモリ Corsair DDR5-5600 16GB×2 (CMD32GX5M2B5600C40W)
電源 ANTEC NeoECO Gold NE850G
SSD crusial T500 2TB
ケース ANTEC Constellation C5 ARGB
CPU クーラー noctua NH-U12A
ケースファン(付属) ANTEC 120mm×7
ケースファン(増設) Corsair RX120mm×3 StarterKit
OS Ubuntu 24.04.1 LTS

ケースファンの構成画像

PCの構成はこんな感じ。ファンはケース付属の7つに加え、上部にCorsair RX120mmファンを付けています。

増設したRXファンの回転数とライティングの制御をOpenLinkHubを使ってUbuntu Desktop(Ubuntu 24.04.1 LTS)から行います。

ちなみにケース付属のファンは、回転数をBIOSで、ライティングをOpenRGBで制御しています。

OpenLinkHubのインストール

READMEの通りにやっていきます。今回はmanualインストールを選択しました。

  1. libudev-dev と Go のインストール
bash
$ sudo apt-get install libudev-dev $ sudo apt-get install golang-go

~/.profileなどに以下を追記します。

bash
export PATH=$PATH:/usr/local/go/bin
bash
$ exec $SHELL -l # シェルをリロード $ go version go version go1.22.2 linux/amd64

Goのバージョンが表示されればOK。
Goは基本的に後方互換があるので、これより新しいバージョンでも問題ないはず。

  1. OpenLinkHubをビルドする
bash
$ git clone https://github.com/jurkovic-nikola/OpenLinkHub.git $ cd OpenLinkHub/ $ go build . $ sudo sh install.sh

Goでビルドし、install.shを実行します。
install.shではサービス登録までやってくれます。

以下のコマンドで登録されているか確認し、active/enabledが表示されればOK。
これでPC起動時に自動でOpenLinkHubも起動するようになります。

bash
$ systemctl is-active OpenLinkHub.service active $ systemctl is-enabled OpenLinkHub.service enabled

ここまで完了すると、回転数とライティングの制御ができるようになっています。

http://127.0.0.1:27003/

上記URLをブラウザで開くとダッシュボードが開き、自分の環境だとCPU・GPU・SSDの温度が表示されました。

OpenLinkHubのダッシュボード画像

トップメニューのiCUE LINK System Hubをクリックすると、iCUE Linkパーツの設定画面が開きます。

ファンの設定画面の画像

回転数の制御方法

OpenLinkHubではファンの回転数を制御できるので手順を説明します。
まずはプロファイルを作成します。

  1. http://127.0.0.1:27003/ ダッシュボードを開く
  2. トップメニューのProfilesを選択
  3. New Profileから新しい Profile を作成
    1. Profile nameは適当にmyquietにしました
    2. SensorはCPUのまま
    3. Create
  4. 温度の範囲と回転数を設定する

以下は最大65%になるように設定してみた例。

回転数設定の画像

続いて作成したプロファイルを適用します。
トップメニューのiCUE LINK System Hubから設定画面を開き、各ファンのプロファイルを作成したmyquietに変更します。以上で設定完了です。

CorsairのRX120mmファンは最大で2100RPMあり、デフォルトの設定だとうるさく感じることもありましたが、65%に設定するとCPUに負荷をかけても静かです。

ライティング制御方法

続いてiCUE Linkパーツのライティング制御方法の説明です。

トップメニューのiCUE LINK System Hubから設定画面を開き、
電球💡アイコンのプルダウンから選択するだけ!。

11 種類の設定が用意されているようです。

  • circle
  • circleshift
  • colorpulse
  • colorshift
  • colorwarp
  • flickering
  • off
  • rainbow
  • spinner
  • static
  • watercolor

画像は左から、watercolor rainbow spinner に設定してみた例。

ライティング設定例GIF

今の所、動的に色をカスタマイズする機能はないようですが、database/rgb.jsonを書き換えると色の変更ができます。

試しにstaticの色を変更してみます。

diff(database/rgb.json)
diff --git a/database/rgb.json b/database/rgb.json index 44495d0..1299b9c 100644 --- a/database/rgb.json +++ b/database/rgb.json @@ -15,15 +15,15 @@ "brightness": 1, "smoothness": 20, "start": { - "red": 0, - "green": 255, - "blue": 255, + "red": 250, + "green": 107, + "blue": 12, "brightness": 0.5 }, "end": { - "red": 0, - "green": 255, - "blue": 255, + "red": 250, + "green": 107, + "blue": 12, "brightness": 0.5 } },

適当にオレンジっぽい色にしてみました。
install.shを再実行すると更新されます。

bash
$ sudo sh install.sh OpenLinkHub is already installed. Performing upgrade

設定ページを再読み込みして、staticに変更してみます。

staticに設定してみた画像

左が設定したオレンジっぽい色(250,107,12)。右は次に試したマゼンタ色(255,0,255)。
※付属ファンはOpenRGBで設定しています。

まとめ

メモリが浮いてますね w。
メモリもiCUE Link対応メモリなのですが、今の所OpenLinkHubから設定できる機能はないようでした。
.icueprofileにも対応されたら嬉しいですね。

せっかくGoで書かれてるので色々いじってみようかな。

ひとまず制御できることが分かったので、RXシリーズのリバースファンが発売されたらケース付属のファンも入れ替えたいです。
https://www.reddit.com/r/Corsair/comments/184apfj/qx120_reverse_optionfuture/
ゲームズコム(ドイツで開催されるゲームイベント)にリバースファンが使われたPCが展示されていたという情報。

追記: TGS2024でも展示があったようです。QXのリバースファンが使われてますね!
https://www.gdm.or.jp/crew/2024/0927/556186